宝物

社家所有 「羅陵王の舞」掛け軸


笛能音の須美由久夜半爾
   あら者世類す可多も 閑理の於も天なり気舞
                  源 依平

 
この絵よ むかしいづ連の御時爾可あり遣無
皇太子命八幡山にまうで給ひて月のおもし呂きよ御馬に
能らせ給ひなから羅陵王といふ曲を布かせ給ひ介るに世に
た具ひなき御志良倍にやめ伝もよ本され希む あやしく此世
能人とも見えぬ音のいつこよりともなくきたりて吹すまし給ふ
御笛にあ者せ亭その舞乎まひ可那伝しとて沙るいミ
し筬昔可たりのさまを音楽の家の乎太秦広光ぬし
絵がきたる奈理 そをその父ぬし薗越前守ときこ遊類人
より藤原秀茂ぬしにおくら連遣るを秀茂ぬしもとより
笛吹くこと乎いたくこのミ給へ連婆よそこひておの連爾
歌をとこ者るヽ爾よりてそのゆゑよしをも筆の都い伝
爾閑く盤志類数述奈牟

   天保の八年とうふとしの八月

笛の音の澄みゆく夜半に
   あらはせる 姿も仮の おもてなりけむ

いつの日のことか、天皇の御子様がこの社に参詣されました。
美しい月夜のことで、馬にお乗りになって羅陵王という曲を
お吹きになりますとその音のすばらしさに誘われて、
この世の人とも思えぬ舞人が現れ陵王の舞を舞われた
---という話を楽家(雅楽の奏者の家系)の太秦広光という方が
絵にしたものです。広光の父親の薗越前守という方から
当社神主の藤原秀茂に贈られました。
 歌は、その絵に歌人 源依平が讃を寄せたものです。

     天保八年 八月